「なぜ銀塩写真なのか?」銀塩プリントvs印刷
写真は写真仕上げとも呼ばれ昔ながらの写真屋さんで行われていた銀塩プリントと、印刷があります。
「デジタル印刷になってから写りが悪くなった気がする、、」
「銀塩写真ってなに?印刷とはどう違うの?」
「写真の画質にこだわりたい場合どちらがおすすめ?」
銀塩写真と印刷とは具体的に何が違うのでしょうか?
本記事では、銀塩写真(写真印画紙プリント)とデジタル印刷の写真を実際に比較。技術的な違いやメリットとデメリットをご紹介します。
銀塩プリントと印刷の比較
実際の画像を使って、銀塩プリントと印刷の違いを比較してみました。
写真の比較
300dpiのデータをそれぞれのプリンターで出力し原寸サイズを600dpiで取り込んだ後400%拡大して比較したものです。
銀塩写真
銀塩写真は、光を使って色素分子に反応させるので、精細度が高く、非常にきめ細かい像になります。
高い階調性で色の繋がりが非常に滑らかで、奥行きのある立体感な仕上がりになります。
インクジェット
インクジェット印刷は、インクの溶媒に水を使用しているため、にじみやすく精細性は紙の吸水性の影響をうけやすいので、表面にシリカゲルなどの吸水性の高い物質を塗布した用紙などがあり速乾性を高めています。
オフセット印刷
オフセット印刷は、色の三原色(シアン・マゼンダ・イエロー)のインクを使用して各原色を重ね合わせる事によって色を表現しています。また点(ドット)の大きさや密度によって階調を表現しています。
比較表
銀塩プリントと印刷(インクジェット、オフセット)の違いは以下の通りです。
項目 | 銀塩 | インクジェット印刷 | オフセット印刷 |
---|---|---|---|
精密度&きめ細かさ | ◎ | 〇 | △ |
階調性 | ◎ | 〇 | △ |
表面の強さ&なめらかさ | ◎ | 〇 | △ |
保存性(耐光性) | ◎ | ||
耐水性 | ◎ | 〇 | 〇 |
安さ | 〇 | △ | ◎ |
媒体の自由度 | △ | ◎ | 〇 |
- 画像の精細度ときめ細かさでは、銀塩写真>インクジェット>オフセット印刷の順になります。
- 明るいところから暗いところまでの段階(グラデーション)を階調性と言い、銀塩写真は階調性に優れています。
- 銀塩プリントの表面は、色素が保護膜で守られているので強く滑らかで、デジカメではサラッとした感触です。
- 耐光性の色素を使用しているので、経年による色あせを防ぎ、保存性にとても優れています。
- 銀塩写真の印画紙は、耐水性の高いPE(ポリエチレン)によって挟みこんで紙の部分を守るため、耐水性に優れています。印刷の場合は、水にぬれると紙が伸縮してしまうため水に弱いです。水溶性の染料インクを使用している場合、画像がにじんでしまいます。
- 家庭用インクジェットの場合は印刷機やインクの費用などが掛かります。
銀塩写真プリントと印刷
デジタルプリントには、様々な種類それぞれ異なる方式があります。
銀塩プリントと印刷の技術的な違いをご紹介します。
銀塩写真プリント
銀塩写真と呼ばれるのは、像を記録するためにハロゲン化銀を使用しているところから由来します。
ハロゲン化銀には、光が当たると還元されて銀になる特性があります。
銀塩(ハロゲン化銀)と色素を含む素材を塗布した写真用紙にレーザーの光を当てて化学変化させて、反応した部分を現像処理します。色素は保護膜の中に守られているので、表面がなめらかで見た目もきれいです。
その特性を利用して、光が当たったところに反応するので、光がより当たった箇所はより濃く、あまり当たらなかった箇所は薄く、まったく当たらなかった箇所は、写らない、というように光の強弱を分子が捉えて像を写し記録することができます。
像を記録するのに銀の化合物を使用しているので、現代でも銀塩写真と呼ばれています。
感光材料が塗られたフィルムを露光させることで像を記録するカメラをフィルムカメラと呼び、以前はフィルムに光を当てて、銀塩写真をプリントしていました。(光学焼きとも呼ばれています。)
以前はフィルムカメラからのみ銀塩プリントが可能でした。しかし現在では、デジタルカメラからもデータを光の強弱の情報に変えて、光の当たった箇所はより濃く写真印画紙にレーザー光をあてて、銀塩写真をプリントすることができるようになりました。
印刷
インクジェット
インクジェットプリンターとは、主に家庭用プリンターで使用されているプリント方式です。
自宅でインクジェットプリンターを使用して写真をプリントする場合は、カラーインクの色の種類が多い方が良いです。
自宅で簡単に写真をプリントできますが、プリンター、カラーインク、写真印画紙などの費用が掛かります。
オフセット(有版)印刷
現在もっとも多い印刷方式です。
平版(版胴)の上に、油と水の反発する特性を利用して、絵柄部分のみにインクを乗せて印刷します。
版から直接紙に印刷せずに、一旦ゴム胴に転写してから、印刷します。
ゴム胴に転写することを「OFF」といい、ゴム胴から紙に転写することを「SET」ということからオフセット印刷と呼ばれています。
卒アルは銀塩プリントがおすすめ
写真を印刷するのはコンビニのトナー印刷や家庭用のインクジェットプリンターで印刷することも可能です。
現在では、低価格で販売されているアルバム業者やその他の業者はオフセット印刷を使用しています。
しかしそうはいっても昔ながらの銀塩写真の方が、他のデジタルプリントと比較して以下のようなメリットがあります。
- 精細度が高くきめ細やかで見た目がキレイ
- 階調性が高い
- 保存性が高い
卒アルは10年後、20年後、30年後ずっと残っていくものです。精細度が高くきめ細やかで見た目がキレイ、階調性が高い、保存性が高く色落ちせず長期保存可能な銀塩写真をおすすめします。